高尾山の住み分けの不思議高尾通信

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高尾山の住み分けの不思議

高尾山の自然を語るときに「住み分け」をはずしてはいけない。なんとも自然の絶妙なバランスのすばらしさ不思議さを教えてくれるからだ。

 ケーブルカーの山頂駅から南東の斜面を見渡してみよう。四季を通して黒々とした常緑樹のカシ類が見事に生い茂っているのがわかる。
 ところが今度は目を転じて北西の斜面を見てみよう。すると今度はブナを中心とした落葉広葉樹に山肌が覆われているではないか。

 落葉樹であるため冬はその木々が寒々として 枯れ枝ばかりが目立ち、初夏ともなると新緑が燃えるような青々とした山に変身する。
 
 高尾山の表参道には、この常緑樹のカシと落葉樹のブナが並んで生息しているのです。なんとも不思議な光景としかいいようがありません。
 しかしなぜこんなことがありうるのでしょうか。常緑樹のカシは暖地に、また落葉樹のブナはやや寒い地方に生息するはずなのですから。
                             
 そもそも分布が異なるはずのブナとカシ、両者がこここに並んで繁っているのにはここ高尾山の標高に関係があります。この近辺は標高約500メートル。

 ブナ林が生息するにはやや低すぎるが、カシが生息するにはやや高すぎる標高です。そうなんです。両者は自分たちが生息できるお互いに限界すれすれの高度で、すなわち限界の気温の中で微妙な自然界のバランスを保っているのです。

 高尾山の尾根の北斜面と南斜面の日当たりの差、温度差がこのブナとカシの林の違いということになるのです。

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