高尾山で出会える動物たち高尾通信

高尾山の自然観察ガイド

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高尾山の動物たち

アナグマ

 高尾山でも時々お目にかかるアナグマは、ムジナ・ササグマ・マミなど地方によって呼び名が異なり、タヌキとの区別が明確ではない。
 アナグマの肉は、昔は通称「たぬき鍋」にされ、山間地域の貴重なタンパク源であった。また、脂肪からとれる油を火傷、切り傷、ひびなどの薬に用いたという。食性は雑食で、昆虫、軟体動物、カエル、ミミズ、ヒミズ、果実などだが、ミミズが主要植物といえる。手にはいるものならなんでも食べ、地表のものを直接食べるほかに、ミミズなどは穴を掘ってとる。
 そのためアナグマが菜食して歩いたあとには深さ10~15cm、直径10cmほどの穴が点々と続いている。     
 《特徴》毛色は薄茶を基色とした黒茶褐色。黒味の強い個体もいる。四肢とのどから腹にかけて濃いこげ茶。顔面は白っぽく、眼をおおう形で縦に紋様をもつ。

ヒミズ

 モグラ科に属するヒミズ類は、モグラ類と同様に眼は皮下に埋まり耳介(じかい)をまったく欠くが、モグラ類に比べて体が小さく、尾が長い。
 土をかきわける前足は、やや幅が広いもののモグラほど発達していない。
 地中の浅い部分にトンネルを掘って生活し、地表でもかなり活動するなど地下生活への適応度合いが低く、トガリネズミ類に似た半地下性の動物である。      

 本州、四国、九州と一部の属島に分布し、丘陵・山地の樹林、疎林、草原など多用な環境に生息するが、モグラ類の優勢な平地には少ない。ミミズ、ジムカデ、クモ、昆虫などのほか果実、種子など植物性のものも食べる。      
 地表に出るのは夜間のことが多いが、昼夜を問わず数時間の周期で活動と休息を繰り返していると推測される。      

《特徴》体毛は黒色から黒褐色でビロード状。こん棒状の尾には6~16mmの長毛がまばらに生える。

ニホンリス

 高尾山の人気者、クリッとした丸い眼、木の実をかじる頑丈で鋭い切歯、ふわりとした尾をもつリスは、とても愛嬌がある。樹上でおもに生活し、植物質を食べる。おもに朝と夕に活動し、夜間は球状巣で休息する。
 リスを特徴づける太い尾は、樹上でバランスをとるための器官である。枝から枝へ軽快に自由に動きまわるために、後ろ足の筋肉は発達している。鋭いかぎ爪を樹皮に 引っかけて頭を下に木を降りるにも、枝から枝へ幹から幹へ大きくジャンプするにも、後ろ足でぶらさがりながら、あおむけで巣材の樹皮を手と口で丸めるにも、後ろ足の筋力が重要である。      

 《特徴》背中は夏毛が赤褐色、冬毛は灰褐色。腹部は1年を通じて白色。あごから四肢にかけてと、背と腹の境界部が橙色。冬は耳にふさ毛が生える。エゾリスと比べるとやや小型で、眼に白いふちどりがあり、夏毛の赤みが強い。

ハクビシン

 新型肺炎の「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の関係でいきなり脚光をあびてしまったハクビシン。 WHO(世界保健機関)によると、中国と香港の調査チームが、中国南部で売られていた食用のハクビシンなどからSARSウイルスに類似したウイルスを検出したと公表しました。

 実は、このハクビシン、高尾山でも以前はよく見かけた動物です。
中国、台湾、東南アジアなどの雑木林に生息し、ジャコウネコ科に属する中型獣。
果実、多様な動物種、残飯などを採食する雑食性。
 江戸時代の文献には記録が残っていません。突然、疑いをかけられたハクビシンですが、その生活についてはまだあまり詳しくはわかっておらず、不明な点が数多くあります。
帰化したものとも、元来生息していたものともいわれていてはっきりしません。戦後には野生化し、各地で果樹や野菜の害獣になっています。 

 タヌキによく似ているが、和名の「白鼻心」の通り、鼻の先端から頭部にかけて白い縞模様があります。中国語では、同様の意味で「花面狸」、「白鼻狗」と呼ばれています。体長は45~55㎝、尾長は40㎝ほどで、体重は3~5㎏です。毛色は灰褐色で、背筋は色が濃くなっています。体に斑点はなく、鼻筋に白線があり、頬と眼の下に白斑があります。

 昼はほとんど、樹洞、土穴、人家屋根裏などの寝ぐらで休んでいますが、日没と同時に活発に行動を開始して、断続的に夜明けまで動き回ります。「鳥獣保護及び狩猟に関する法律」により、ハクビシンは狩猟獣に指定されています。許可を受けて捕獲する以外は、勝手に捕まえたり飼ったりすることは禁じられています。

 高尾山に来られた時、運がよければ、ハクビシンと御対面なんてことになるといいですね。

ムササビ

 高尾山にはいろいろな動物が住んでいるが、やはりその中でも人気者はムササビでしょう。        ムササビの詳しい説明はこちら

 四本足を持ったれっきとしたけものなのにさっそうと木から木への空を駆けめぐるその動きは子供達にも人気を集めているようです。
 ムササビの性質はおとなしく人をこわがらないので高尾山を歩くとご対面できる機会があるが、体長40cmほどのリスに似たその前後両足の間には鳥のような飛膜がありふさふさした長い尾がはえているのが特徴です。このムササビ、その姿の通りリス科の動物です。

 その滑空距離は、出発点の木の高さの約2.5倍だそうですから、10メートルの高さの木から飛び立つと2~30メートルは飛べるという計算になります。ムササビが住むのは大木の樹洞で、高尾山のムササビは、薬王院付近の杉やけやきの大木がすみかで、1号路沿いでは3 0カ所あまりにおり、高尾山全体では、150程度が住んでいるのではないかとの報告があります。      
 その行動は夜行性で、日没後30分程度すると巣穴から出てきてお互い挨拶(!?)をした 後、ついに滑空ショーとなるわけです。この姿を一目みようと観察会も多く開かれていますが、何せ、どこから飛び立ってどこに行くのかわからない彼らのことですから、ベテランの 方でも飛び立つチャンスを捉えるのはなかなか難しいとか。  彼らは、木の実以外では桜の樹皮が好物のようで冬枯れの高尾山で桜の枝が白く目立ったら彼らの仕業にちがいありません。      

 一説によると高尾の天狗伝説は、このムササビではなかろうかというものもあります。自由 に空を駆けめぐる天狗様とムササビは確かに結びつくところがあります。 近年高尾の山にも高速道路が横切り夜行性の彼らとしては夜走る車のライトを嫌って裏高尾のブナ林にはいなくなってきたとの話もあります。豊かな自然の指標でもあるムササビの棲める森をいつまでも守ってやりたいものです。
             天狗伝説はこちら

モグラ

99.07.10 東京読売朝刊33頁 多摩2県 より       

 モグラ見~つけた 八王子・高尾山の沢=多摩

 高尾山の登山道近くにある沢で、府中市南町の林繁さん(67)がモグラの仲間と見られる 小動物を撮影した。     
 樹木医の林さんが、学生三人と植物研究のために高尾山を先月半ばに訪れ、標高約三百メートル付近の沢で、落ち葉の中から「チィ、チィ」というかすかな鳴き声がして一匹を見付けさらに約二メートル離れた所で一匹見つけたという。黒っぽくて体長は約四センチ、体重は 推定三、四グラム。撮影後に放した。      

 この写真を多摩動物公園で見てもらったところ、モグラの仲間のジネズミやカワネズミの子 供ではないかと見られる。高尾山ビジターセンターの自然解説員でネズミを研究している白 石浩隆さんも同じ見立て。「高尾山には野ネズミは三種類いる。ジネズミ、カワネズミはモ  グラの仲間だが、ネズミに似ているところから名前が付いた」と説明したうえで、「人と小動物などの予期せぬ出合いが、高尾山の自然の魅力の一つ」と話している。

サワガニ

 子供たちに人気のあるのが「サワガニ」です。甲羅は25mmから30mmくらいで、丸み   のあるサワガニ科の丸みを持った四角形のカニで、後方が狭まっています。背面は滑らかで 光沢があります。雄のはさみ脚は左右で大きさが異なり、右が大きい個体が多いようです。      

 体色はレンガ色、紫黒色、灰青色という基本的な型があります。夏はほとんど水に入らないが、雌は水中で稚ガニを孵化させる。
 高尾山では6号路の沢の中でよく見掛け、夏になると子供達の賑やかな歓声が聞こえます。でも本当はそっとしておいてほしいのですが.....

ヤマメ

 イワナとともに谷川の最上流に棲む魚で全長は約2年で20cmほどになる。背側が青緑色を 帯びた黄褐色で腹側はややピンク色を帯びた白色。体側には約10個のパーマークがあり、側線部は美しい紅色で、さらに背側には黒斑が多数ある。

 養殖が盛んで無秩序な放流によって分布域の乱れと交雑化が著しいく高尾山の麓を流れる小仏川でも放流したものとの混在が見られる。産卵期はその地方の紅葉期とほぼ一致し、数年産卵を繰り返すものも少なくなく約2ヶ月で孵化する。真夏でも20℃以下の水域で生活する。

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