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高尾山豆知識

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1−8.自然の造形 シモバシラ

 アナと雪の女王というファンタジーアニメが大ヒットでしたね。道も湖も木々も花々も真っ白の雪と氷の世界に彩られて、美しいアニメでした。
 ところで、高尾山にも氷の花が咲くのですといったら皆さんは驚きますか。

 高尾山の冬の造形美、氷の花を咲かせるシモバシラは林の中に生える多年草です。学名はKeiskea japonica ですが、 「属名のケイスケアは、幕末から明治にかけて活躍し、リンネ学説を紹介した植物学者の伊藤圭介にちなんでつけられたといいます。 (黒崎史平『植物の世界20』1994、朝日新聞社)

 シソ科の植物で、シモバシラは、9月から10月上旬ごろまでは白か薄紅色の小さな花をまるで鋸の歯のように多数つけます。
 冬に茎が枯れても根は地面の中で元気に生きていて、翌年また芽を出して成長し花を咲かせる多年草の植物です。
 関東から九州まで幅広く分布しており、山林の中や渓流の周辺で多く見かける事が出来ます。
 花そのものは白い小さな花の集合で、どこにでも見るような雑草という感じのどちらかと言えばあまり目立たないありきたりの草です。
 高尾山を歩いていてもおそらく気にもとめないような雑草ですね。

 しかし、シモバシラの言葉の所以は冬にあります。
 シモバシラは初冬に大変身をするのです。
 高尾山で秋に咲いたこの花は、枯れた後の寒い日にもう一度美しい花をつけるのです。
 といっても本物の花ではありません。氷の花を咲かせるのです。

 寒気が強まると地中にある根はそのままに、土から上の部分を枯らしてしまいます。
 すると、毛細管現象によって地中の水分を吸い上げ、その水分が冷え込んだ外気に触れて凍り結晶化。枯れた茎を割って吹き出してまるで氷の花が咲いたように見えるというわけです。
 つまり、この珍しい氷の結晶の花を霜柱に見立てたもので、時には前日のあるいは前々日の花の上から咲くこともありそれはまさに氷の彫刻、自然の美しさに言葉を失います。
 なお、この現象はシソ科の他の種類やキク科のキッコウハグマなどにも見られるそうです。

○シモバシラが見られる時期
 
 シモバシラが、見事に見られる時は、初めての寒波で急激に冷え込んだ日で、かつ(1) 気温が氷点下ぐらいにまで下がった早朝  (2) 風が弱い、または無風のとき (3) 雨や雪が降っていないとき  
といった条件が揃った時で、こんな日は地上に吸い上げられた水分が茎からはみ出して「氷」となって現れるんだそうです。
 土壌が凍ってしまうと根が水分を吸い上げることができなくなるので、真冬には見ることができません。
 また、日が当たると溶けてしまい、晩秋から初冬の朝にしか出会うことのできない貴重な現象です。  
 なお、気温が上がると氷の結晶は溶けてしまうため、鑑賞は午前中がおすすめです。遅くても9時頃には現地にいたいところです。

 また、大きな氷の花が見たい場合は、12月下旬頃がいいかもしれません。氷ができたり溶けたり何度も氷の華が形成されるうちに、茎はボロボロになって、だんだん小さい氷の花になっていくのです。最後には、百円玉くらいの大きさとなり、注意しないと見落とす可能性があります。

○シモバシラが見られる場所

 そんな貴重なシモバシラのことですから、きっとわかりにくいところにあるのかなと思いがちですが、実は結構わかりやすい場所にあります。
 シモバシラは多年草のため、毎年同じ場所に氷の花を観察できます。

 高尾山では、主に見れるのは以下の三か所でしょうか。
・山頂のビジターセンター近くの、もみじ台の北側の巻き道
・5号路の南側の石垣の斜面
・ケーブルカーの清滝駅の構内


 特に「もみじ台」の北側巻き道周辺は、杉林の中には「シモバシラ」観察コースもあり、株数も多いため、比較的わかりやすいでしょう。
 また、山頂から一丁平方面で見られますがいずれにしても早朝に行かねばなりません。
 特にいい場所ではハイカーやカメラマンが集まっていて形の良い「シモバシラ」の撮影順番待ちももあるようです。

 ただし、特に皆さんにお願いしたいことは、決して道からはみ出さないようにすること。ついついいい写真を撮りたくて、ずかずかと林の中に入り込んでいく人を見かけます。
 高尾山は、山ですので、安易に道を外れると滑って危険ですし、冬の間に地中で眠っている植物まで踏み荒らされてしまうと、春に出てこれない可能性もあります。高尾山の自然を守るためにも、必ず、登山道から観察していただきたいと思います。

 いずれにしても秋のうちに花を見つけて冬を楽しみにしておくのがいいでしょう。

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