高尾山のお掃除小僧さん高尾通信

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高尾山のお掃除小僧さん

 高尾山に訪れた方達からは、次の二つの声が聞かれます。
ひとつは「高尾山はいつ来てもごみがなくてきれいね」そしてもう一つは、「なぜ高尾山にはごみ箱がおいてないの。不便ね。」

 一見、矛盾しているようなこの二つの事柄は、実は高尾山を愛する地元の人達の悪戦苦闘の歴史をご紹介すれば、納得がいくことと思います。         

 都心からも近いところにこのような自然がそのまま残っている高尾山は、休みともなるとたくさんの方達が自然に触れようとやってこられます。
 特に1967年に京王高尾山口駅が開業すると、薬王院への参拝客が急増。電車とケーブルカーを乗り継いで山上まで行けるようになり、背広姿の男性やハイヒールを履いた女性の姿も見かけるようになったのです。

 これに山上の門前町は好景気に沸いたが、一方で、新たな悩みも生まれたのです。「ゴミ問題」です。高尾山の賑わいに合わせ、山頂周辺には、決してそのままでは土にかえってはくれない空缶やビニールが散乱し、いたるところでごみの山を作っていました。片づけても片づけても、心もとないハイカー達のぽい捨てによって、ごみが消えることはありませんでした。

 このままでは高尾山はごみの山になってしまう。危機感を覚えた高尾山の人々は、ついに立ち上がりました。高尾山薬王院、ケーブルカーを運行する高尾登山電鉄、山上に6軒ある茶店の3団体が、「パノラマ会」を結成し、早朝5~6時頃から、手分けして山の清掃を始めたのです。

 それでもまさにいたちごっこ。拾い集めたゴミを穴を掘って埋めたり、缶プレス機を購入して空き缶を処理したりと、あらゆる手を尽くしたが、たちまちパンク状態。
 そして30年に渡る悪戦苦闘の結果、「そうか、ごみ箱やごみ穴を一切なくしてしまえばいいんだ」と、またなんと画期的というか、一見、無謀な試みを思い付いたのです。
 早い話が、持ってきたごみは家まで持って帰ってもらおうという、考えてみればしごく当たり前で、一番簡単な方法なのです。         

 自然を求めて高尾山に来る人ならばきっと理解してくれるだろうと最初はおそるおそるのスタートでしたが、結果はみてのとおりです。
 もっとも、折角、山から持ち帰ったのに、ごみ箱を見つけるとごそごそとリックサックからごみを取り出し捨てているハイカーも多いとJR高尾駅の構内のごみ箱を掃除するおじさんはため息をついていました。
 また、高尾山にゴミを捨てる人が全くいなくなったわけではありません。最近は外国人観光客の増加でポイ捨ても増えているといいますが、それでも山内は美しく保たれ、清浄の気に包まれているのです。

 皆さんは、きちんとごみを持ち帰っていますか。                       
 さて、そんなわけで山がきれいななれば、そこに生きる植物や動物もきっとすくすくと育ち、人も元気になっている。そんな願いをこめて、平成5年に山麓広場と山頂にお掃除小僧さんが建立されたのです。
 そうですお掃除小僧さんは、ごみ持ち帰り運動発祥の地のシンボルだったのですね。

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