・山のトラブル(事故発生)
・山で迷ったら
・山で遭難したら
・野生動物と遭遇したら
・もしものために
山で遭難したら
最近の遭難事故の特徴
遭難とひくとちにいっても、「本当にお気の毒だった」というものから、「準備不足にもほどがある!」と周りに叱られてしまうようなものまで、様々です。
登山道の整備は年々進んでいるのに、なぜ遭難事故は減らないのでしょうか。
それは、遭難事故の原因のほとんどが遭難者側にあるために他ならないのです。
警視庁のまとめによると「平成17年1年間の全国の山岳遭難件数は1382件(前年より61件増)、遭難者数は1684人(同75人増)、うち死者・行方不明者は273人(同6人増)で、いずれも統計が残っている1961年以降で最悪となった」そうです。
警察庁は「中高年の登山者数の増加が背景にあるのではないか。十分な装備で出掛け、登山の届けも忘れないでほしい」と呼び掛けている。
全遭難者を年齢別にみると、増加傾向が続いていた40歳以上の中高年が1372人で81・5%を占めた。最も多いのが60―64歳の279人で、55―59歳が244人だった。
また、目的別では、ハイキングや沢登りも含む登山が1175人で69・8%。山菜採りが394人で23・4%。
このように最近、2000メートルに満たない冬や春のハイキングコースでも、遭難死亡事故が続発しています。低山といえども、季節により、また、その年の気象状態によって山はめまぐるしく変わります。
状況判断を誤れば、当然、危険にさらされます。中高年の登山ブームの影響で、「山の知識、技術を持ち合わせないで登山した結果、体力不足による疲労や道に迷うケースが増えた」ということです。
低くても山は危険 気軽な観光地?高尾山で事故急増
中日新聞2007年10月16日
「道に迷った。おれはもうだめだ」。今年六月、高尾山付近の山中をマウンテンバイクで走っていた男性(37)が道に迷い、妻にメールを送った。驚いた妻は同山を管轄する警視庁高尾署に捜索願を出し、同署員らが夜、山中で男性を発見した。発見当時、男性は非常食や水もなく、憔悴(しょうすい)していたが、署員が水を飲ませ、何とか元気を取り戻したという。
高尾山はふもとの京王線高尾山口駅からケーブルカーやリフトを利用すれば、山頂まで約一時間半の行程。登山道も整備され途中には植物園や売店、古刹(こさつ)もあり人気の行楽地だ。
レストランの格付けで有名なフランスのタイヤメーカー「ミシュラン」による日本の観光地の格付けで、富士山とともに最高ランクの三つ星観光地に選ばれ、外国人の注目も集まっている。
一方で、山岳事故は増加傾向だ。うち六十歳以上が約七割を占めた。多くは転倒や転落による負傷だ。写真撮影に気を取られ転落した人もいた。体調が悪くなり、動けなくなって救助を求める人もいた。
ハイキングでも絶対安全ではありません
ましてや軽装で非常食糧も持たずに、となれば、自ら生命を捨てに行くようなものです。山の遭難は、危険な山や岩登りだから起こると勘違いしていないでしょうか。
一般的に高い山ほど危険性が増すのは事実ですが、低い山やハイキングだから絶対安全とはいえないのです。
また最近は携帯電話で救助を求め、命が助かったというケースが増えています。
稜線などに出ると電波がつながるので、携帯電話は今や心強い味方です。
ちなみに警視庁の調べでは、昨年の全遭難件数の40・2%にあたる555件で、遭難者は現場から携帯電話を使って救助を要請していたということです。
また、見よう身まねの処置は、かえって患者の状態を悪化させることもあるので、救急処置 は確実に知っている範囲にとどめること。
可能なら、落石のこない安全な場所に患者を移動し、ツェルトなどをかけて安静を保った上で救助を待つ。(雨風・直射日光などが当たらないようにしたほうがよい。)
それでは不幸にして遭難してしまった時は
道に迷って現在地がわからなくなったら、下ってはいけない(特に沢筋へ下ることは危険)。その場で動かず、体力を温存することが重要です。
怪我などで行動不能になったら、その場を動かず体力の温存を第一に考えることです。 食糧は持っている物を食いつなぐしかありません。
普段から緊急用の食糧やカロリーメイトなどを常備しているといざという時に助かります。
悪天で行動不能になった場合は、ハイマツの中など少しでも雨風をしのげる場所に移動し、その場でビバークも覚悟の上で天候回復を待つ。
パニックになって動き回り、体力を消耗させないことが大事です。
また、捜索ヘリコプターの行動原則を知っておくことも大事です。はじめに遠巻きでヘリでとおり、ヘリが来ているぞと遭難者に知らせ、次に一つずつ谷、尾根を見ていく。
このときまでに、上空から視認しやすいところに出て、目立つものを振る準備をしてもらうよう誘導している。